人形といっても産地や製造方法、用途などによって様々な種類があります。そこで本記事では、代表的な人形の種類を解説していきます。
日本人形
日本人形は和服を着て、日本髪を結った、伝統的な風俗を写した人形です。日本人形はいくつかの種類に分けられます。
市松人形
市松人形は代表的な日本人形の一種です。振袖を着たおかっぱの女の子の人形が特徴的ですが、男の子の人形もあります。顔が白く、黒目が大きく、少し怖い印象を与えることも少なくありません。
しかし時代によって見た目は変化しており、現代風の見た目をした市松人形も増えています。たとえば茶髪でヘアアレンジをし、パステルカラーの着物を着ている市松人形も販売されています。
衣裳人形
江戸時代になり鑑賞を目的に生まれたのが衣裳人形です。俳優や遊女などを型取り、題材に当時の風俗を反映しているものが多いため、浮世人形と呼ばれることもあります。裂地(きれじ)の衣装が特徴です。
衣裳を着せポーズを固定させた人形を総称して衣裳人形の名で呼んでおり、布製のマスクを用いたフランス人形式の新製法による人形も衣裳人形と呼ばれます。
フランス人形
フランス人形は厳密に定義されていませんが、19世紀のフランスで作成された幼女型の人形やロココ風の華麗なドレスに身を包んだ女性の人形を指すことが多いです。またドレスを着た洋風な人形を総称してフランス人形と呼ぶこともあります。
なお19世紀のフランスで作成されたフランス人形は非常に価格が高く、買取専門店では高値で取引されることもあります。当時のフランス人形は最近の流行服を着せて、洋服の宣伝に用いられたことから、非常にお洒落なのが特徴です。
アンティークドール
アンティークドールは19世紀のヨーロッパでブルジョア階級(中産階級)の貴婦人や令嬢たちに人気を博した人形を指します。正式名称はビスクドールと呼ばれますが、100年以上経ったビスクドールをアンティークドールと呼ぶため、ビスクドールを総称してアンティークドールと呼ぶことも多いです。
ビスクドールは陶器を使用して作られるため、チャイナドールと呼ばれることもあります。
操り人形
操り人形は操り芝居に用いられる人形を総称します。特に糸で操るものを指すことが多いため、日本では糸繰り人形と呼ばれることも多いです。マリオネットと呼ばれることもあります。
しかし糸で操る糸繰り人形だけでなく、手遣いの人形(パペット)も操り人形と呼ばれます。
国内で製造された糸繰り人形としては、江戸の江戸糸あやつり人形と大阪の竹田人行が有名です。
着せ替え人形
着せ替え人形は、衣装を着せ替えて楽しむことを目的とした人形を指します。なお日本人形の市松人形や衣裳人形の中にも衣装を着せ替えられる人形があり、広義の着せ替え人形の1種です。
着せ替え人形としては、第2次世界大戦後にアメリカから移入されたソフトビニル製のバービー、タミー人形が有名です。現在は国産のソフトビニル製の着せ替え人形のリカちゃん人形が人気を博しています。
マトリョーシカ
マトリョーシカは日本の入れ子人形の七福神(ロシアでは福禄寿を意味するフクルマの名前で呼ばれます)をモデルにしたロシアの郷土玩具です。木製の人形で胴体が上下に分割できるようになっており、中に同じように分割できる人形が複数入っています。
マトリョーシカの名称はロシア人女性の名称「マトリョーナ」に由来しており、マトリョシカは女性をモデルに、頭にはネッカチーフを、体には前掛けを着けていることが多いです。
球体関節人形
球体関節人形は関節のつなぎ目が球体になっている人形です。関節のつなぎ目が球体のため、様々なポーズを取らせられます。ドイツのハンスベルメールという作家が非常に有名で、当時のパリで活躍していたシュルレアリストに影響を与えました。
衣装の着せ替えはもちろん、ウィッグを被せたり、カラーコンタクトレンズを入れたり、付け睫毛をつけたりと、多様な遊び方が可能です。